鋳物 用語の解説
ア行
鋳物砂
鋳型に使用される砂のこと。
鋳物メーカ
鋳鉄や鋳鋼などを材料とした鋳物の製造メーカ。
上型・下型
最も一般的な鋳型で、上下二つの枠を用いるもの。大物で枠がない場合や、動かすのに困難な場合に採用される。
大物鋳物
重量が10トン以上、長さが10m程度の大きさの鋳物の俗称。日本国内では製造可能な鋳物メーカは少ない。
押湯
鋳物の収縮に伴う空洞(ひけ巣)を補うために、鋳物本体の他に作られた余分の部分。押湯にひけ巣が集中するため、鋳物本体には巣ができないようになる。
カ行
金枠
鋳型を成型するために用いる金属製の枠。
枯らし(シーズニング)
鋳物の鋳造内部応力を除去するため、長い年月放置する操作。最近では応力除去焼なましが行なわれることが多い。
木型
鋳物を製造する場合の模型の総称。材料に木材、発泡スチロールなどを使用して製作する。
球状黒鉛鋳鉄
片状黒鉛鋳鉄に次いでポピュラーな鋳鉄の一種。黒鉛が球状である。片状黒鉛鋳鉄に比べて引張強度が強く、延性もあるのが特徴。主に成形機など靱性を必要とする部品に用いられる。
ケレン
中子を支える金物。中子を幅木のみで支持できない時に使用する。
サ行
仕上しろ
加工する部分に対して、仕上げに必要な寸法だけ付ける余肉のこと。
タ行
ダクタイル鋳鉄
球状黒鉛鋳鉄の別の呼び方。
鋳造方案
鋳型製作時の湯口・押湯・冷し金・ガス抜きなどの位置・大きさ・数・鋳込み時の溶湯温度、鋳込み条件などの選定の総称。
鋳鉄
金属を溶解して鋳型に注入・凝固させることにより所要形状を作り出した物で、炭素含有量が2.1%以上のもの。(2.1%未満は鋳鋼)
塗型剤
鋳型表面を保護して鋳肌を美しくするための塗料。
土間型
下型は枠を用いずに床に直接模型を込め、上型のみ枠を用いるもの。
ナ行
中子
鋳物において、内部を中空にしたり鋳抜いたりする場合に用いられる砂型をさす。
中子砂
中子に使用される砂のこと。
抜け勾配
鋳型から模型を抜き取りやすくするため、模型の垂直面につけられた勾配のこと。
ねずみ鋳鉄
片状黒鉛鋳鉄の別の呼び方。
伸尺(鋳物尺)
鋳物は溶融状態から固体になるときの凝固収縮と、固体になってから常温になるまでの固体収縮があるため、この点を考慮して鋳物よりも模型をやや大きく作るためのものさし。
ハ行
パイプ鋳ぐるみ
鋳鉄に中空パイプを包んだ複合鋳造の一種。加工では不可能な細長い穴や螺旋状の穴を設置することが可能である。
斫り
鋳物製作の際に発生する製品形状以外の余分なバリや湯道などをサンダーなどを使用して除去する作業。
幅木
中子を必要とする鋳物は、中子を支える部分を鋳型に作らなければならないので、模型にこの部分を鋳物本体から出っぱらせて製作した部分のこと。
ひけ巣
溶湯が最後に固まるところでは溶湯の補給が行われないため、大きく収縮する現象。
冷し金
鋳物各部の冷却速度をコントロールするために使われる金属部品のこと。鋳肌に接触させる、鋳肌近くに置く、鋳物の中に鋳ぐるませるかの方法がある。
ピンホール
ブローホールの小さいもののこと。
複合鋳造
2種以上の材料を使用したり、鋳物内部にパイプや板などの部品を入れた状態で注湯し、おのおのの性能を発揮することができるように製造する鋳造法。
ブローホール
溶湯の中に含まれるガスが、凝固した後に鋳物内部へ残る現象。
片状黒鉛鋳鉄
最もポピュラーな鋳鉄の一種。断面を観たとき黒鉛が片状に見える。振動吸収能に長ける。主に工作機械部品などの構造物に用いられる。
補正しろ
鋳物の収縮が一様に行なわれない部分や、型込め作業上寸法の正確を期することができない部分に付ける余肉のこと。
マ行
ミキサ
鋳物砂と粘結剤を混練する装置。
模型
鋳物の原型。
ヤ行
湯口
溶湯を注ぎ込むために設けた通路の総称。
湯境
溶湯の鋳込み温度が低すぎる場合にできる境目のこと。
ワ行
枠内焼鈍
応力除去焼なましの代替策。枠内に鋳物がある状態のまま徐冷を行なうことにより、内部応力の除去を図るもの。