0.15~0.13μm次世代高精度電子ビームマスク描画装置

2000年6月24日

次世代を先取りした高精度、高速マスク描画の実現とEBマスク装置のデファクトスタンダード化

EBM-3500

当社は、(株)東芝と共同で、次世代対応の高精度電子ビームマスク描画装置の開発と高精度化に成功し、その販売を開始しました。

今回販売す装置は0.15~0.13μm設計ルールデバイスのマスクパターン描画を行うことのできる、高精度電子ビームマスク描画装置EBM-3500で、昨年、0.18~0.15μm対応のEBM-3000の販売を開始して以来、初めてのモデルチェンジです。

既にEBM-3000の量産化体制を推進中ですが、これに新機種のEBM-3500が加わることになります。今後、本格的な受注活動を開始し、出荷は2000年後半から2001年を主体に計画しています。

他社に先駆けて、0.15~0.13μm対応マスク描画機を供給することによって、業界のリーディングカンパニーを目指します。国内はもとより米国、アジア、欧州等、ワールドワイドに積極的な販売を展開する計画です。

また、これに続く次々世代(0.1μm設計ルール)に向けての技術開発を(株)東芝と進めており、時代の要求に合わせた装置供給を、半導体業界に対する使命と捉え継続して行います。

製品コンセプト

次世代を先取りした高精度、高速マスク描画の実現とEBマスク装置のデファクトスタンダード化

主な特長

  1. 可変成形ビーム・ベクタースキャン・ステージ連続移動型描画方式
  2. 高加速電圧(50kV)、高電流密度(最大40A/cm2)対応の電子光学系
  3. 描画可能マスクサイズは□130mm(5インチ)~□230mm(9インチ)
  4. 完全自動搬送システム(SMIF対応)
  5. ~0.13μm設計ルール対応の高精度・高速描画マスク

(注)1~4はEBM-3000と同じ
SMIF : Standard Mechanical InterFace

高精度化・高速化技術

1.多重描画(標準4回)技術
2.最小アドレスユニット 1.25nmと高精度制御回路技術
3.電子ビーム高精度自動調整技術
4.電子ビーム鏡筒内自動洗浄(in-situ洗浄)(オプション)
5.新理論に基づくパターン近接効果補正とリアルタイム・パターン近接効果補正回路ハードウエア技術
6.ハニカム構造反射電子防止技術
7.カセットレス・マスク歪み無し保持技術
8.50ナノ秒/ショットの高速ビーム偏向アンプ
9.80ナノ秒/ショット対応の制御演算回路ハードウエア
10.高速データ変換技術(CATSシステムにより、EBM-3000フォーマットを出力)

などの技術はEBM-3000と同様に採用し、さらに

11.装置各部の温度均一化
12.磁気シールドの強化
13.電気ノイズの低減
14.設置環境の改善

などの、外乱要素を徹底的に低減させる対策をとることによって、0.15~0.13μm対応精度を達成しました。

装置性能

パターン描画結果

EBM-3500は、SIAロードマップの性能(0.13μm)を完全にクリアーしております。

左の写真はパターン描画結果の一例です。
既に出荷した装置の性能も再現性が良く、精度向上技術にはかなりのノウハウを取得しており、0.1μm対応精度も部分的に達成しているところもあります。

今後、(株)東芝との要素技術をさらに進め、次々世代マスク描画装置の実用化を加速したいと考えております。

SIA:半導体工業協会(Semiconductor Industry Association)

今後の展開

EBM-3000のプラットフォームは、EBM-3500に完全に引き継がれています。本装置の本格的な事業化を機に、マスク描画機のデファクトスタンダード化を目指します。さらに、サービス部門の強化を積極的に進め、国内外のグローバルな即応サービス体制を構築します。
今後とも、精度向上・高スループット達成のための研究開発を進め、0.1μm時代に向けた要素技術を確立していく計画です。2002年には要素技術の確立を目指し、その後0.1μm対応の次々世代マスク描画機を商品化する計画です。

なお、本装置には、通商産業省プロジェクト「超先端電子技術開発促進事業」の一環として、新エネルギー・産業開発機構(NEDO)から委託されて、1995~1999年に実施した要素技術開発結果の一部が使用されています。

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