ダイカストマシン用高性能プランジャチップを全国販売(当社サービス子会社東芝機械成形機エンジニアリングがダイトクと代理店契約を締結)
2003年12月16日

当社の成形機サービス子会社である東芝機械成形機エンジニアリング(社長 田中秀雄)は、このほどダイトク(社長 根岸克男、東京都板橋区、電話03-5921-3151、URL http://www.daitoku-net.co.jp)と代理店契約を結び、当社がダイカストマシン用に開発した「サーメットチップ」を全国的に販売していくことになりました。
「サーメットチップ」は、ダイカストマシンの射出装置用ピストン部である高性能プランジャチップで、アルミニウム合金などの溶融金属を射出するための部品です。プランジャチップは、射出装置のシリンダー部であるプランジャスリーブ内を高速で移動するため、互いの摩擦により磨耗したり、場合によってはカジリ現象が起こり両者の摩擦部が傷付くことがあります。
従来は、SKD61材料(JIS)の焼入れ品や、ニッケル合金の溶射品がプランジャチップに使用されてきましたが、耐磨耗性、耐カジリ性が必ずしも満足できる性能でないため、比較的短期間で損傷していました。ダイカストマシンで製造される製品の良否は、溶射の射出時の圧力変動によって影響を受けるため、擦り減ったり傷付いたりせずに稼動寿命が長いプランジャチップが求められています。
「サーメットチップ」は、粉末冶金法により製造した独自のサーメット(セラミックスと金属の複合材料)を、鋼材の外周部にコーティングした二層構造となっています。サーメットは、ニッケル合金中に高硬度の硼(ほう)化物が多量に分散しているため、優れた耐磨耗性を示します。従来品のプランジャチップに比較して、プランジャスリープとの摩擦による磨耗量が1/3以下と大幅に改善されました。
「サーメットチップ」を型締め力350トンのダイカストマシンに取り付け、実際に稼動させたところ、従来のチップに比較しての2倍~5倍程度の寿命が得られることが分りました。また、長期に溶湯の射出安定性が得られるため、ダイカスト製品の不良率が減少することが分りました。
「サーメットチップ」は、昨年11月、パシフィコ横浜で開催された2002年日本ダイカスト会議・展示会で展示発表した後、試行販売してきたものです。当面は中小型機用を対象とし、プランジャチップ径50~100ミリメートルまでのサイズで、拡販を図っていきます。
サーメットチップの特長
- 耐摩耗性
スリーブとの摩擦による磨耗は、溶射チップの1/3以下になります。 - 耐溶損性
アルミニウム合金溶湯による溶損は、溶射チップの1/10以下になります。 - 耐熱衝撃性
熱衝撃によって発生するクラックが大幅に減少します。 - チップ寿命
溶射チップに比較しておよそ2~3倍の寿命を示します。